第28回勉強会のお知らせ

弥生の空美しく晴れ渡り… なんて言葉で書き始めたくなるような、よい季節となってまいりました。お元気でお過ごしでしょうか。

さて、今月の学習会は以下の通りです (サイト更新が遅くなってすみません…)。

日時: 2017/03/28 (火曜日), 18:00-20:00
場所: 難波別院 事務所会議室
範囲: 宮城顗『大無量寿経講義 二十五』(大地の会, 2000), 第99講, pp. 57-84
発表者: 田中寛子さん

開催場所がいつもと違うのでご注意ください。別院事務所と教務所の間の「事務所会議室」です。28日にはもう桜が咲いているでしょうか?なんだか、ワクワクしますね。

さて、今月は漫画のご紹介。谷口ジロー さんの “遥かな町へ” という作品。先月の11日に69歳という若さでお亡くなりになり、何か一つご紹介したいと思い、代表作のひとつと言えるこの作品を選びました。

谷口さんの作品は、夢枕獏原作の “神々の山嶺” はじめ、他にもたくさん熱中して読んだ記憶があるのですが、特に久住昌之さん原作の “孤独のグルメ” で谷口さんの名前が日本で一躍有名になったと思います。この “遥かな町へ” という漫画はフランスで芸術文化勲章シュヴァリエを受章するなど (フランス語タイトル “Quartier lointain“)、つい最近の『孤独のグルメ』ブーム以前は、日本よりむしろ欧米で高く評価されていたように思います。お話は、48歳の中年サラリーマンが今の記憶・知識を持ったまま14歳の中学生にタイムスリップする、というもの。勉強はできるし、運動も抜群、大人びた雰囲気で当時は話すことさえできなかった憧れの女の子ともうまくいく… と少し鼻につくような設定なんですが、テーマが深い。男性にとって避けることのできない「父親」との心の対話が、精緻な画力と絶妙な心理描写で展開し読者を惹きつけます。原作は谷口さん自身。私は谷口さんの訃報を聞いた時、まずこの本を読み返したいな、と思ったんですが、本棚のどこを探しても見つからない (だから先に書いたストーリーはうろ覚えのところがあるんですが…)。学生時代、誰かに貸したまま返ってきてないのかも… ブックオフや古本市場で偶然見つけれないかな、と頭の片隅で思う日々。誰かに貸していただけないかな、と僅かな期待をこめつつ、ここにご紹介いたします:)

学習会の補足 —「自信」について—

先日2月20日に第27回目の学習会が行われました。今回は本願の第15願「眷屬長寿」についての講義 (第98講) でした。第14願「声聞無数」からの流れで、この「眷屬長寿」の願は、「声聞に志願を回復する」という意味を持つと講義されます。そして、15願の眼目が「除其本願 修短自在」であることが強調され、第2願の「寿終之後」という語との、また第22願の還相廻向の願との、それぞれ呼応関係が指摘されました。

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第27回勉強会のお知らせ

立春を過ぎてもなおきびしい寒さが続いていますが、お元気でお過ごしのことと存じます。

さて、今月の学習会は以下の通りです。

日時: 2017/02/20 (月曜日), 18:00-20:00
場所: 難波別院 研修ホール 第二会議室
範囲: 宮城顗『大無量寿経講義 二十五』(大地の会, 2000), 第98講, pp. 25-54
発表者: 島慶史さん

場所はいつもと同じ別院研修ホール「第二会議室」です。本願講義も第15願「眷屬長寿の願」に入ります。17, 18, 19, 20 願と本願佳境へ向けていよいよ上り詰めているような気がします… 今回もより多くのみなさまのご参加をお待ち申し上げます。

さて、今月は著書をご紹介したいと思います。先日、難波別院で第一生命経済研究所の小谷みどりさんの講義があったのですが、彼女の新書を。

講義は「同朋の会推進委員会」の委員対象講座のもので、講題は「寺院を取り巻く環境がどう変化したか」というものでした。小谷さんのご専門は「死生学」で、近年メディアで目にすることも多く、ご存じの方もたくさんいらっしゃると思いますが、私は正直なところメディアで触れる限りでの彼女の印象は良くなく、実際に講義を聞いてもその「直観」はそれほど外れなかったのですが、詳細なデータに基づく研究は非常に優れたもので、研究者としての彼女の能力や講演者としての話力には非凡なるものがある思います。私もかなり没頭して講義を聞かせていただきました。真宗教学者の視点とは異なったところから、今寺院にできることはなにか、ということを考えていく有益な視点が提示されて、寺院側が今後のあり方を探る格好の材料を提供してくれます。私は、彼女の視点というのは今の日本社会の寺院・僧侶に対する不満の一つの凝点であるように感じました。だから、その直球の意見は我々の立場からは強烈な反感を覚える。しかし、それを単なる反感に留めず真摯に向き合うことから、現在における真宗者の歩み方・教化のあり方・寺院の存在意義等が浮かび上がってくる、という可能性もまた感じることができるように思います。私は彼女の講義を聞いたその夜、彼女の著書をまとめ買いしました^^; 当日のレジュメも ここ にアップしましたので、ご興味のある方はご覧ください。

年頭所感 —「知進守退」ということ—

謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

光遠会も立ち上げからはや2年強が経過して、ようやく教区の中でも個性豊かなメンバーの集う会として徐々にその立ち位置を獲得しているように感じています。

さて、年頭所感として「知進守退」(進むを知りて退くを守る) ということについて少し書いてみたいと思います。この言葉は「進むことを知るならば、まずは退く方法を備えておくべきである」といったほどの意味で、退く方法の備えなくして、進むことだけに有頂天になっていることが戒められた言葉として受け止めることができるように思います。今後学習会を続けていくにあたって、また私自身の今後の学びの態度として、心にとどめて置くべき言葉として、ここに年頭所感として書き留めておきたいと思います。光遠会の会自体を省みても、また私自身のここ最近のあり方を思い返しても、まさにただただ進むことだけに意識を向けており、静慮して脚下を顧みるということにおろそかになっており、そうした浮ついたあり方を、この語によってずばり言い当てられたような気もしたのでした…

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